何を感じていたのだろう・・
(2004/10/08に書いたものです)
このところ気に入って向田邦子さんの本を読んでいる。もう10冊ほど読んだ。先日も電車の中で文庫を開いていた。飛行機が怖い、というエッセイだった。スチュワーデスさんだって本当は怖いのを我慢してるんじゃないの、という切り出しに、惹き込まれかけた時、私はハッとなった。『この人は、飛行機事故で亡くなったのだ!』このエッセイを書いて程ない1981年のことだ。なんだか頭の奥の方がひゅーっと冷たくなった。動揺したままページに目を戻すと、こんな一節があった。
このところ出たり入ったりが多く、一週間に一度は飛行機のお世話になっていながら、まだ気を許してはいない。散らかった部屋や抽斗のなかを片づけてから乗ろうかと思うのだが、いやいやあまり綺麗にすると、万一のことがあったとき、
「やっぱりムシが知らせたんだね」
などと言われそうで、ここは縁起をかついでそのままにしておこうと、わざと汚いままで旅行に出たりしている。・・・
台湾上空の機内で、飛行機が落ちそうだと気が付いた時、向田邦子さんはどんな気持ちだったのだろう・・。
イチロー選手が、米大リーグで84年間破られなかったシスラー選手の記録を更新する、という大偉業を成し遂げた。シスラー選手が亡くなった年にイチロー選手が生まれたという。こんな偉業を成せる人がそうそう居る筈はない。イチロー選手はシスラー選手の生まれ変わりだ、と私は信じている。記者会見で、「今回塗り変えた記録を今後破られることがあると思うか?」と聞かれ、イチロー選手はこう答えた。「あるでしょうね。(破られない筈の記録破りを)やった人間がここにいるんですから。ただ、破られるとしたらその時は、自分に破られたいですね」この人は何度生まれ変わっても、ずっとヒットを打ち続けるのだ、と思った。
向田邦子さんの新刊が出ることはもうない。もう読む本が底をついてきた。そろそろ何処かで生まれ変わった向田邦子さんが、書き始めていてくれないものだろうか。
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